「すぐ辞める人」を採らない!新車ディーラー営業職のミスマッチを防ぐ採用設計

「せっかく採用したのに、すぐに辞めてしまった…」
「辞めはしないが、やる気がなく戦力になっていない」
こうした悩みは、新車ディーラーをはじめとする営業職の採用現場で非常に多く聞かれます。
特に新車ディーラーでは、商品力やブランド力だけではなく、営業スタッフの信頼や人柄が来店・成約に直結するため、人材の質と定着率が経営に大きく影響します。
そのため、営業職の採用においては「早期離職を防ぐ設計=ミスマッチのない採用プロセス」が非常に重要です。
本記事では、ディーラー出身で自動車業界専門の採用コンサルタントである野瀬が、新車ディーラーの営業職のミスマッチを防ぐ採用設計について詳しく解説します。
1. 「辞める人の共通点」をまず把握する
新車ディーラーの営業職において、早期離職者に見られる共通点には、以下のようなものがあります。
① 志望動機が“なんとなく”
- 「営業ならどこでも通ると思った」
- 「新車ディーラーは安定してそうだから」
このように業界理解や職務理解が浅いまま応募・入社した人材は、現場でギャップを感じやすく、定着率が低い傾向にあります。
② 自分に合った営業スタイルのイメージがない
新車ディーラーの営業は、飛び込み営業ではなく店舗に来店されたお客様への接客が中心です。
このようなスタイルを理解せず、「外回りの営業をしたい」といった動機で入社した人は、ミスマッチを感じやすいです。
③ 人間関係や職場文化への不一致
新車ディーラーは比較的体育会系な文化や、数字へのこだわりが強い企業も多く、「優しい雰囲気」や「マイペースに働きたい」という志向の方には合わないケースもあります。
2. 採用設計の出発点:「自社に合う人とは誰か?」を言語化する
ミスマッチを防ぐ第一歩は「どんな人が新車ディーラーの営業職に向いているか」を明確にすることです。
① 現場の営業スタッフにヒアリングする
- 成績上位の営業スタッフに共通する価値観は?
- 早期離職したスタッフは、どこに不満を持っていたか?
- 長年続けている人は、なぜ続けられているのか?
こうした“現場のリアルな声”から、自社に合った新車ディーラー営業職の人材像が見えてきます。
② 採用ペルソナを明文化する
採用ペルソナとは、理想とする応募者像を具体的に描くものです。以下のように、新車ディーラー特有の職務に合う資質や志向性を整理しましょう。
項目 | 内容(例) |
年齢層 | 20代中盤~30代前半 |
経験 | 接客経験あり/営業未経験でもOK |
性格 | 丁寧・聞き上手・誠実 |
志向性 | 地域密着でお客様と長く付き合いたい/車に興味がある |
不適合 | 数字しか見ない成果主義・スピード重視・独断型の人 |
関連記事:中途採用で営業即戦力を確保する!ディーラー採用成功のポイント
3. 「共感採用」の視点で求人原稿を設計する
Z世代を中心に、「条件が良いから」だけで職を選ぶ人は減っています。
新車ディーラーの営業職でも、“人や考え方に共感したから”という理由で応募されるケースが増えています。
▶ 求人に盛り込むべき5つのポイント(新車ディーラー編)
- 営業スタイルの明示
例:「飛び込み・テレアポなし。来店対応に専念できます」 - 新人教育やチーム支援体制
例:「20代の先輩社員がマンツーマンでサポート」 - 活躍社員の紹介
例:「未経験入社2年目で販売台数トップの20代女性」など - 合わない人の傾向も明示
例:「マイペースすぎる方は苦労するかもしれません」 - 企業文化・想いの共有
例:「私たちは“売る”より“信頼される”営業を目指しています」
こうした情報を開示することで、「想像していたのと違う」というミスマッチが減ります。
関連記事:ディーラー若手営業の採用を成功させるには?Z世代が応募したくなる求人の作り方
4. 面接は“見極め”より“すり合わせ”の場にする
新車ディーラーの営業職では、成績だけでなくお客様との関係づくりが重要です。
そのため、面接ではスキルだけでなく、価値観・志向性を確認することがポイントです。
▶ 有効な質問例
- これまでで「ありがとう」と言われて嬉しかった仕事はありますか?
- あなたが思う“いい営業”とはどんな人ですか?
- 数字のプレッシャーはどのように感じますか?
- 車のことは詳しくないかもしれませんが、どう学ぼうと思いますか?
また、店舗見学や現場スタッフとの面談を取り入れると、よりリアルな相互理解が深まります。
5. 採用サイトで「ありのまま」を伝える
早期離職の多くは「こんなはずじゃなかった…」というギャップが原因です。
このギャップを埋めるために、採用サイトで“ありのまま”の職場の雰囲気を伝えることは非常に効果的です。
▶ 採用サイトに掲載すべきコンテンツ
- トップインタビュー:経営者がどんな想いで新車ディーラーを運営しているのかを語ることで、理念への共感を生みます。
- 社員インタビュー:現場スタッフのリアルな声を紹介。とくに「楽しいこと」だけでなく「きついこと」「悩んだこと」も正直に語るのがポイント。
- 社員座談会動画:複数名がフランクに語る形式は、職場の雰囲気が伝わりやすく、視聴者にとって親近感を持ちやすくなります。
- 社員の一日:実際の営業スタッフがどんなスケジュールで動いているかを紹介。業務の流れが具体的にわかることで、不安や誤解を減らせます。
▶ 「良い面」だけを伝えないのが大事
応募者が「この会社、思ったより体育会系だな」「数字のプレッシャーもあるけど、それ以上に人間関係が良さそう」と事前に自分なりに評価・判断できる情報を伝えておくことで、ミスマッチを大幅に減らせます。
特に重要なのは、「辛かった経験」や「失敗したエピソード」、そしてそれを“どう乗り越えたのか”というストーリーを社員の口から正直に語ってもらうことです。
たとえば:
- 「入社直後は覚えることが多くて戸惑ったが、先輩が毎日声をかけてくれた」
- 「最初の成績は振るわなかったけど、お客様の声を丁寧にメモして提案に活かすことで信頼を得られるようになった」
このような具体的な乗り越えエピソードがあると、応募者が“自分も頑張れそう”と感じるきっかけになります。
採用サイトは「企業が選ぶため」だけでなく、「応募者が自分で見極めるためのツール」として機能させましょう。
関連記事:【新車ディーラー経営者様へ】採用ブランディング完全ガイド|応募が集まる会社の作り方
6. 入社後の“ギャップ対策”も採用の一部
入社後に「思っていたのと違った…」というギャップがあると、新車ディーラーでも早期離職につながります。
そこで、採用プロセスから入社後のオンボーディングまでを一貫して設計することが重要です。
▶ 新車ディーラーにおすすめの定着支援施策
- 入社後1週間の「安心スケジュール」を作成
- 配属店舗の先輩が“教育担当”として伴走
- 「3ヶ月でここまでできればOK」という明確な評価軸
- 月1回のフォロー面談で不安を吸収
こうした仕組みがあれば、新入社員が「ちゃんと見てもらえている」という安心感を持ち、定着しやすくなります。
まとめ|新車ディーラー営業職の採用は「相性重視」がカギ
新車ディーラーの営業職は、スキル以上に「人として信頼されるかどうか」が成果に直結します。
だからこそ、採用においては「数を採る」よりも、「相性を見極めて、辞めない人を採る」ことが大切です。
そのためには:
- 辞めやすい人の傾向を知り、採用ペルソナを設計する
- 求人では共感される情報を開示し、リアルを伝える
- 面接では志向性・価値観のすり合わせを重視する
- 入社後の支援体制まで含めて採用と考える
こうした一連の仕組みが整えば、営業として活躍し、長く働く人材が自然と集まる新車ディーラーになります。
最後までお読みいただきありがとうございました。あなたの会社の採用に少しでも役立てばうれしいです。